1. 結論
丸千代山岡家の第2四半期(2-7月)決算は、売上高・利益ともに前年比で26%前後の増加と好調な内容でした。さらに期末配当を3円から21円へと大幅増配するという、株主還元の強化も発表。既存店売上は40ヶ月連続で前年を上回っており、外食業界全体が厳しい中でも安定成長を示しました。
しかし、時間外取引(PTS)では株価が下落。市場は「好決算・増配」そのものよりも、利益率の低下や下期の減益見通しといった不安材料を重視したとみられます。短期的な調整はある一方で、中長期的には「成長+還元」の両立が期待できる銘柄です。
2. 企業情報
- 正式社名:丸千代山岡家株式会社
- 証券コード:3399(東証スタンダード)
- 設立:1993年5月11日
- 業種:小売業(ラーメンチェーン運営)
- 上場市場:東京証券取引所スタンダード市場
- 資本金:4億6,100万円(2025年1月期末時点)
- 特色(詳細版): 全国に「ラーメン山岡家」を直営方式で展開。24時間営業・年中無休を基本に、地域密着型店舗として高い認知度を誇ります。アプリ会員数は拡大を続け、デジタル施策による集客強化にも積極的。既存店売上の40ヶ月連続増は、同業のラーメンチェーンと比較しても極めて高い安定性を示しています。外食全体が原材料価格・人件費・物流費の高騰に直面する中で、価格改定や効率化を織り交ぜつつ利益を確保しています。
3. 決算概要(発表日・対象期間)
- 発表日:2025年9月12日(大引け後)
- 対象期間:2026年1月期 第2四半期累計(2025年2月〜7月、非連結)
4. 決算ハイライト/主要数値
指標 | 数値 | 前年同期比 | 通期見通しに対する進捗率 |
---|---|---|---|
売上高 | 198億1,600万円 | +26.8% | — |
経常利益 | 20億0,200万円 | +26.0% | 40.8億円計画に対して49.1% |
純利益 | 13億7,500万円 | +26.7% | — |
第2四半期単独(5-7月期)経常利益 | 9.2億円 | +11.9% | — |
売上営業利益率(5-7月期) | 8.9% | 前年同期9.6%から低下 | — |
5. 注目ポイント
- 既存店売上40ヶ月連続増:コア顧客の支持が厚く、地域店舗の安定感を証明。
- アプリ施策強化:クーポン配布・会員増加により来店頻度を押し上げ。
- 期末配当大幅増額:3円 → 21円へと7倍増配。株主還元強化を鮮明に打ち出した。
- 利益率低下:売上営業利益率は前年9.6%→今期8.9%と悪化。コスト上昇影響が表面化。
- 下期は減益見込み:通期計画は据え置きだが、下期(8-1月期)の経常利益は前年同期比−7.4%を見込む。
6. 時間外株価の下落要因
決算発表後、時間外取引(PTS)では株価が下落しました。その背景には以下の要因が考えられます。
- 織り込み済み感:業績好調・配当増は事前に予想されていた可能性が高く、サプライズ性に欠けた。
- 利益率の低下:営業利益率が下がった点を市場がネガティブに評価。
- 下期減益の懸念:通期は据え置きでも、下期予想がマイナス成長となる点が嫌気された。
- 短期筋の利確:直前まで株価が上昇していたため、利益確定売りが時間外で出た。
7. 投資スタイル別評価
投資スタイル | 評価 | コメント |
---|---|---|
中長期投資 | ◎ | 既存店売上・ブランド力・配当強化で長期保有に適す。 |
配当重視 | ◎ | 配当の大幅増額が魅力的。安定配当と組み合わせれば収益源に。 |
株主優待狙い | ○ | 自社食事券優待あり。優待+配当の総合利回りは個人投資家向け。 |
バリュー投資 | ○ | 割安圏にあり、増配も評価材料。ただし株価は短期で調整可能性あり。 |
成長投資 | △ | 利益率の低下や下期減益見込みが成長投資家にとってはマイナス。 |
8. 総評と投資判断
丸千代山岡家の決算は「増益+増配」という投資家にとって魅力的な内容でした。しかし、株価は時間外で下落。このギャップは「市場の期待値の高さ」「利益率低下」「下期のマイナス成長見込み」に起因します。
中長期で見ると、既存店の安定成長とブランド力、株主還元の強化姿勢により、配当重視・安定投資家にとっては依然として魅力的な銘柄です。短期的な株価調整が起きる局面では、逆に押し目買いの好機と捉える余地もあるでしょう。
9. 参考資料・引用元
- 株探「山岡家、上期経常が26%増益で着地・5-7月期も12%増益」
- Yahoo!ファイナンス PTS株価動向・決算速報
- 丸千代山岡家株式会社 決算短信・IR資料
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