はじめに
「アイドルマスター」は2005年にアーケードゲームとして誕生し、いまや日本を代表するアイドル育成ゲームIPへと成長しました。
プロデューサー(プレイヤー)がアイドルを育成し、ライブやストーリーを通じてキャラクターと共に歩む形式は、多くのファンを惹きつけてきました。
シリーズは「765プロオールスターズ(初代)」「シンデレラガールズ」「ミリオンライブ!」「SideM」「シャイニーカラーズ」「学園アイドルマスター」と複数のブランドに分かれて展開。
さらにアニメ、音楽、ライブ、グッズなどメディアミックスを広げ、国内外で大きな経済圏を築いています。
投資家にとっては、こうした巨大IPを支える企業に注目することで、エンタメ株・コンテンツ株の可能性を見極める材料となります。
本記事では、アイドルマスターに関連する上場企業を中心に、非上場企業や親会社も含めて整理します。
ブランド別の特徴と関与企業
1. アイドルマスター(初代/765プロ)
- 特徴
- 2005年にアーケードで稼働開始。その後Xbox 360やPlayStation向けにも展開。
- 天海春香、如月千早、星井美希など、765プロ所属アイドルが中心。
- 現在は「シリーズ全体をつなぐ軸」として周年ライブや合同イベントに登場する存在。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832)→ IPを保有する本体。ゲーム・ライブ・グッズなどすべてを統括。
2. アイドルマスター シンデレラガールズ
- 特徴
- 2011年にソーシャルゲームとして誕生。2015年にはスマホゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(通称:デレステ)」をリリース。
- 登場アイドル数は190人以上とシリーズ最大規模。
- 東京ドームでの単独公演を成功させるなど、ライブ動員力が最も強いブランド。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832) … IP保有本体。
- 株式会社サイバーエージェント(4751) … 子会社Cygamesがデレステを共同開発・運営。
- 株式会社ブシロード(7803) … ライブ協賛、声優イベントとの親和性。
- 株式会社KADOKAWA(9468) … アニメBlu-rayや出版物を通じて流通面で関与。
- ソニーグループ株式会社(6758) … 子会社アニプレックスが音楽制作やアニメ展開に関与。
3. アイドルマスター ミリオンライブ!
- 特徴
- 2013年にソーシャルゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」としてスタート。
- 2017年には「ミリシタ(アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ)」を配信。
- 初代「765プロ」の後輩ユニットという位置づけで、50人以上のキャラクターを追加。
- 2023年にはTVアニメ「アイドルマスター ミリオンライブ!」も放送。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832) … 運営主体。
- 株式会社KADOKAWA(9468)、ソニーグループ株式会社(6758) … アニメ制作・音楽リリースに関与。
4. アイドルマスター SideM
- 特徴
- 2014年にサービス開始した男性アイドルプロデュース作品。
- 「元医者」「元パイロット」「元教師」など前職持ちの個性的なキャラクター設定が特徴。
- 女性ファン層を中心に支持を集め、ライブやグッズ売上が収益の柱。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832) … ゲーム・ライブ展開を統括。
- 株式会社KADOKAWA(9468)、ソニーグループ株式会社(6758) … アニメ・音楽制作に関与。
5. アイドルマスター シャイニーカラーズ
- 特徴
- 2018年にブラウザゲームとして登場。その後スマホアプリ版へ移行。
- 少人数ユニットを重視し、ストーリー性やキャラクターの心理描写が深い。
- SNS世代のユーザーから人気を集め、2024年には家庭用ゲーム版も発売。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832) … IP保有本体。
- 株式会社ブシロード(7803) … 声優ライブやイベント協賛で関与。
- 株式会社KADOKAWA(9468)、ソニーグループ株式会社(6758) … アニメ・音楽展開で関与。
6. 学園アイドルマスター(学マス)
- 特徴
- 2024年にリリースされた新ブランド。
- 学園を舞台にした青春ストーリーで、新世代ユーザー層をターゲット。
- リリース直後はアプリランキング上位に食い込み、大きな話題を集めた。
- 関与企業
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832) … IP本体。
- 株式会社サイバーエージェント(4751) … 子会社Cygamesが共同開発・運営。
アイドルマスター関連 上場企業一覧(詳細)
企業名 | 証券コード | 主な関与内容 |
---|---|---|
株式会社バンダイナムコホールディングス | 7832 | 「アイドルマスター」全ブランドのIP保有。ゲーム(家庭用・スマホ)、アニメ、音楽、グッズ、ライブまで事業全体を統括。 |
株式会社サイバーエージェント | 4751 | 子会社Cygamesが「シンデレラガールズ スターライトステージ」と「学園アイドルマスター」を共同開発。アプリ売上が直接業績に影響。 |
株式会社ブシロード | 7803 | ライブイベント協賛、声優事務所や音楽制作部門を通じてイベントと親和性が高い。 |
株式会社KADOKAWA | 9468 | アニメBlu-ray、書籍、ムック本、関連出版物の制作・流通。アニメ円盤販売で収益に関与。 |
ソニーグループ株式会社 | 6758 | 子会社アニプレックスがアイマス関連の音楽・アニメ制作に参画。CD・配信・Blu-ray販売で収益化。 |
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) | 2432 | サイバーエージェントと資本関係を持つ。直接的な関与は薄いが、モバイルゲーム市場全体に影響力。 |
株式会社セブン&アイ・ホールディングス | 3382 | セブンイレブン店舗でのコラボキャンペーンや限定グッズ販売、チケット流通に関与。 |
株式会社電通グループ | 4324 | 広告・プロモーション、ライブ・アニメのマーケティングを担当。 |
東急不動産ホールディングス株式会社 | 3289 | 自社施設をライブ会場として提供。大規模イベントの開催支援。 |
KDDI株式会社 | 9433 | 非上場となったローソンの大株主。ローソンを通じてイベント協賛や流通に間接的に関与。 |
三菱商事株式会社 | 8058 | 同じくローソンの大株主。イベント協賛やコラボを通じて間接的に関与。 |
非上場だが重要な関連企業
- Cygames(サイバーエージェント子会社)「シンデレラガールズ スターライトステージ」と「学園アイドルマスター」を共同開発・運営。高品質なグラフィックと安定した運営力で、アイマスブランドのモバイルゲーム成功を支えている。
- アニプレックス(ソニーグループ子会社)アイマス関連のアニメや音楽制作を手がける。CD・配信楽曲・Blu-ray販売を通じて収益に直結。
- キングレコード声優や音楽レーベルを多数抱える企業。非上場だが、アイマス関連の音楽や声優活動をサポートする形で関与することもある。
- アニメ制作会社(A-1 Pictures、CloverWorksなど)アニプレックス傘下のアニメ制作スタジオ。アイマスアニメを制作し、映像展開を担ってきた。
まとめ
「アイドルマスター」シリーズは、単なるゲームIPを超え、音楽・アニメ・ライブ・グッズ・広告・小売まで巻き込む巨大エンタメビジネスに成長しています。
投資家の視点で整理すると:
- 直接的に注目すべき銘柄→ 株式会社バンダイナムコホールディングス(7832):全ブランドのIP本体。→ 株式会社サイバーエージェント(4751):Cygamesがデレステ・学園アイマスを運営。
- 周辺で強い関連を持つ銘柄→ 株式会社ブシロード(7803):ライブ協賛・声優ビジネス。→ 株式会社KADOKAWA(9468):アニメ・出版・流通。→ ソニーグループ株式会社(6758):アニプレックスを通じ音楽・アニメ制作。
- 間接的に関わる銘柄→ 株式会社セブン&アイ・ホールディングス(3382):コラボ・グッズ・チケット流通。→ 株式会社電通グループ(4324):広告・プロモーション。→ 東急不動産ホールディングス株式会社(3289):ライブ会場提供。→ KDDI株式会社(9433)、三菱商事株式会社(8058):ローソンを通じた間接的関与。
最後に
アイドルマスターはブランドごとに特徴が異なり、関与企業も部分的に違います。
「シンデレラガールズ」や「学園アイドルマスター」ではサイバーエージェントが関与し、アニメや音楽面ではソニーやKADOKAWAが活躍。ライブ市場ではブシロードや小売企業が支える構図です。
つまり、アイマス関連株は「バンダイナムコ一強」でありながら、周辺の上場企業も投資テーマとして捉えられるのがポイントです。
投資家にとって、エンタメIPはヒットやイベントによる短期的な変動と、長期的なIPブランド力の両面を見る必要があります。
アイドルマスター関連企業を把握することは、日本のエンタメ株市場を考える上で有効な視点となるでしょう。
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