1. 結論
株式会社キタックの最新決算は、第3四半期累計で減益を抱えつつも通期経常利益を25.3%上方修正するという前向きな内容でした。結果、通期の純利益は前年同期比+11.2%増益見込みに転換。建設コンサルとWEBソリューション事業の堅調な伸びが寄与し、全体の業績に底堅さが見えてきています。
一時的には減益感が残るものの、**「成熟市場を基盤にしながらDX領域で成長を狙う地方建設コンサル+ITハイブリッド企業」**としての存在感を高めた決算といえます。
2. 企業情報
- 正式社名:株式会社キタック
- 証券コード:4707(東証スタンダード)
- 設立:1970年11月12日
- 業種:サービス業(建設コンサルティング・WEBソリューション・不動産賃貸など)
- 上場市場:東京証券取引所スタンダード市場
- 資本金:7億2,900万円(2024年10月期末時点)
- 特色(詳細版): 株式会社キタックは、新潟を地盤とする建設コンサルティング中堅企業です。地質調査・土木設計をはじめ、道路・橋梁・河川・港湾などのインフラ分野に強みを持ちます。また、近年はクラウド導入やWebソリューション事業を成長の柱と位置づけ、官公庁案件に加えて企業向けDX支援を拡大しています。
収益構造は建設コンサルが安定基盤を形成しつつ、成長余地のあるWEBソリューションを積極的に展開。不動産賃貸事業も併営しています。成熟業界と新分野のバランスを取りながら、持続的成長を目指している企業です。
3. 決算概要(発表日・対象期間)
- 発表日:2025年8月29日(大引け後)
- 対象期間:2025年10月期第3四半期累計(2024年11月〜2025年7月)
主要数値
- 第3Q累計経常利益:1億8,800万円(前年同期比−33.3%)
- 通期経常利益予想:2億7,700万円 → 3億4,700万円(+25.3%修正)
- これにより通期減益幅は「−29.5%」から「−11.7%」へ縮小
- 純利益:通期で+11.2%増益見込みへ転換
4. 決算ハイライトと事業別動向
① 建設コンサル事業
- 完成業務収入:22.82億円(前年同期比+8.7%)
- 売上総利益:7.56億円(+6.4%)
- 公共事業の堅調さと老朽化インフラ需要が追い風
② WEBソリューション事業
- 収益:1.26億円(+48.8%)
- 売上総利益:1,500万円(+80.2%)
- 企業のDX需要やシステム導入支援が伸長
③ 不動産賃貸等事業
- 収益:1.4億円(−1.9%)
- 売上総利益:3,600万円(−39.2%)
- テナント収益の低下や費用増で苦戦
総じて「建設コンサル+WEB」が伸び、「不動産」は減益要因となりました。
5. 業績改善の背景
- 公共投資需要:国土強靭化計画や老朽インフラ整備が追い風
- DX需要拡大:WEBソリューションの成長率が高く、成長分野としての存在感を強めた
- 経営効率化:人件費・原価増を吸収できず減益幅は残るが、通期上方修正で経営陣の自信を示す内容
6. 投資スタイル別評価
投資スタイル | 評価 | コメント |
---|---|---|
中長期投資 | ○ | 公共工事の安定需要+DX成長の二本柱に注目。 |
配当重視 | △ | 配当利回りは約1.8%と控えめ。安定配当維持の評価は可能。 |
株主優待狙い | × | 優待制度なし。 |
バリュー投資 | ◎ | PER7.5倍前後で割安性が高い。上方修正も評価材料。 |
成長投資 | ○ | WEB事業拡大に期待。ただし全体は成熟業種が基盤。 |
7. 総評と投資判断
株式会社キタックの決算は、一見すると減益ですが、通期見通しを大幅に上方修正したことで投資家に安心感を与える内容でした。
建設コンサル=安定基盤、WEBソリューション=成長分野、不動産=不安定要因と、事業ポートフォリオの性格が鮮明に。成熟と成長を組み合わせた経営戦略が功を奏しているとも言えます。
バリュー投資の観点では非常に割安感があり、短期よりも中長期で業績改善と株価見直しを狙う投資対象として注目できます。
8. 参考資料・引用元
- 株探「キタック、通期経常を25%上方修正」
- minkabu.jp 業績速報
- 新潟経済新聞社記事「通期予想を上方修正」
- Yahoo!ファイナンス 業績・企業情報
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