メタプラネット、資金調達で正念場|総会で優先株発行を審議、今後のビットコイン戦略と投資家の評価

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日本企業の中で異色の存在となっているメタプラネット

ホテル業から転じ、ビットコインを自社のバランスシートに組み入れる戦略を掲げたことで、国内外から「日本版マイクロストラテジー」とも呼ばれてきました。

しかし、2025年夏以降は株価急落により調達モデルが揺らぎ、資金繰りが大きな課題に。

そして 9月1日に開催される臨時株主総会では、「優先株発行」の是非を巡る重要な議案が審議されます。

今回は、最新の事実と背景を整理し、資金調達手法や投資家の評価も含めて解説します。


ビットコイン戦略と株価推移の概要

  • 事業転換:ホテル業から暗号資産企業へ。保有資産の中心をビットコインにシフトし、BTCを企業価値の基盤とする戦略を打ち出しました【FT】。
  • 株価の急変動
    • 2025年春には株価が急騰し、一時400%以上の上昇を記録。
    • しかし6月以降は急落し、ワラントを軸とした資金調達モデルが機能不全に陥っています【Bloomberg】。

この株価の乱高下こそが、今回の資金調達問題の根本にあります。


資金調達の動向と課題

海外市場での株式発行

メタプラネットは海外投資家向けに新株を発行し、約1,303億円(8億8,000万ドル)の資金調達を計画。調達資金はビットコインの買い増しや事業運営に充てるとしています【Bloomberg】【CryptoSlate】。

優先株発行の審議

9月1日の株主総会で、最大5.55億株の優先株発行を可能とする議案が上程。理論上は5,550億円規模の資金確保につながる可能性があります【Odaily】。

ワラント方式の限界

これまで資金調達を支えた「ワラント(新株予約権)」の仕組みが、株価急落によって行使されず、機能しなくなっている点が問題視されています【Ainvest】。


ワラント方式による調達の仕組み

メタプラネットが主に活用してきたのは「新株予約権(ワラント)」を利用した資金調達です。

仕組みの流れ

  1. 発行:会社が新株予約権(ワラント)を投資家に発行。あらかじめ決められた行使価格で株式を取得できる権利を与える。
  2. 行使:株価が行使価格を上回った場合、投資家は権利を行使して株式を取得し、会社には資金が入る。
  3. 株価下落リスク:逆に株価が行使価格を下回ると、投資家は権利を行使せず、会社は資金調達できなくなる。

メリットとデメリット

  • メリット
    • 借入ではなくエクイティで調達できるため財務負担が軽い
    • 株価が上昇すれば調達額が増える(フライホイール効果)
  • デメリット
    • 株価依存度が高く、下落局面では調達できない
    • 新株発行により既存株主の持ち分が希薄化するリスク

今回の株価下落は、この「ワラント方式の弱点」が顕在化した事例といえます。


ビットコイン保有と中長期目標

  • 現在の保有量は 18,991 BTC、上場企業として世界第7位【Bloomberg】。
  • 中期的には 2026年末までに100,000 BTC、2027年末までに210,000 BTCの保有を目標に掲げています。

保有量の拡大を計画している点では一貫していますが、資金調達の持続性が大きな課題となっています。


国内外投資家の受け止め

海外投資家の視点

  • 評価する声
    • 「日本のマイクロストラテジー」として注目され、BTC集中戦略を好意的に捉える動きも。
    • 世界7位のBTC保有量は存在感を示す材料。
  • 懸念の声
    • 「株価に依存した調達モデルは持続性に欠ける」との批判。
    • 優先株発行は資金調達余地を広げる一方、希薄化リスクが重荷になる可能性が指摘されています。

国内投資家の視点

  • 個人投資家:株価の急騰・急落を受け、「仕手化」「ボラティリティが大きすぎる」との声が強まり、リスク回避の動きが見られます。
  • 機関投資家:国内大手機関の参入は限定的。ただし FTSE Japan Indexへの組み入れ によって、パッシブ資金の流入余地はあります。

総合的な評価

投資家の評価は二極化しています。

  • 強気派:「長期的なBTC上昇を前提にすれば企業価値が高まる」
  • 慎重派:「調達手段が不安定で経営リスクが大きい」

外部支援と注目要因

  • 戦略顧問にエリック・トランプ氏:2025年3月に就任。9月1日の株主総会にも参加予定で、経営戦略への信任を象徴する存在として注目されています【CoinPaper】【LiveBitcoinNews】。
  • 指数採用:FTSE Japan Indexへの採用は、資本市場での存在感を裏付けています【Ainvest】。

まとめ

メタプラネットのビットコイン戦略は、株価上昇局面では資金調達の「フライホイール」として機能しました。

しかし株価下落によってワラント方式が機能不全となり、資金繰りは正念場を迎えています。

9月1日の株主総会は、優先株発行の是非を通じて「今後のメタプラネットの戦略継続性」を左右する重要な局面です。

市場からの評価も二極化しており、調達の成否とビットコイン戦略の行方は国内外の投資家から厳しく見られています。


引用文献

  • Bloomberg「ビットコイン戦略に逆風、資金調達模索のメタプラネット-1日に総会」
  • Bloomberg(英語)「Bitcoin Proxy’s Chief Seeks Funding Fix as ‘Flywheel’ Falters」
  • Odaily「Metaplanet’s Bitcoin acquisition strategy faces funding pressure…」
  • Ainvest「Bitcoin News Today: Metaplanet’s Bitcoin ‘Flywheel’ Stalls…」
  • CryptoSlate「Japan-based Metaplanet aims to raise $880M…」
  • Financial Times「Hotelier turned bitcoin hoarder Metaplanet plots acquisition spree」
  • CoinPaper「Eric Trump to Speak at Metaplanet’s Key Meeting…」
  • LiveBitcoinNews「Eric Trump to visit Tokyo for Metaplanet’s key shareholder meeting…」

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